五十肩で服が着られない原因と対処法【理学療法士が解説】痛みを減らす着替えのコツとNG動作

目次

はじめに

「服を着るだけで肩が痛い…」
「腕を通す動きがつらくて、着替えがストレスになっている」

五十肩になると、これまで当たり前にできていた“着替え”が一気に負担になります。
特に、腕を上げる・後ろに回すといった動作は、強い痛みを伴いやすいのが特徴です。

しかし安心してください。
痛みが出るのには理由があり、動かし方を工夫するだけでも負担は大きく軽減できます。

この記事では、

  • なぜ着替えで痛みが出るのか(原因)
  • 痛みを減らす具体的な着替えのコツ
  • やってはいけないNG動作

この3つを、理学療法士の視点からわかりやすく解説します。

五十肩で服が着られないのはなぜ?主な原因

「なぜ服を着るだけでこんなに痛いのか」と疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。

五十肩では、特定の動きで痛みが出やすく、特に着替えの動作は負担がかかりやすい場面です。
この痛みにはきちんとした理由があり、原因を理解することで対処もしやすくなります。

まずは、着替えで痛みが出る主な原因から見ていきましょう。

腕を上げる動きで痛みが出る(外転・屈曲制限)

服を着る動作では、腕を前や横から持ち上げる動きが必要になります。
しかし五十肩では、この動きに関わる関節の動きが制限されやすく、途中で痛みが出ます。

特に「腕を肩より上に上げる動き」で強い痛みを感じる場合は、
着替えそのものが大きな負担になっている可能性があります。

腕を後ろに回す動きが制限される(内旋制限)

下着をつける、ズボンを引き上げるといった動作では、腕を後ろに回す必要があります。
五十肩ではこの動き(内旋)が制限されやすく、日常生活で特に困りやすいポイントです。

背中に手を回す動き

「背中に手が回らない」と感じる場合は、この制限が強く出ている状態です。

肩関節の炎症と拘縮が影響している

五十肩では、関節の炎症と組織の硬さ(拘縮)が同時に起こります。
そのため、

  • 動かすと痛い(炎症)
  • そもそも動かない(拘縮)


    これら2つの問題が重なり着替えが困難になります。

着替えで痛みが出やすい動作とは

「どの動きで痛みが出ているのか分からない」と感じていませんか?

着替えの動作には、腕を上げる・後ろに回すなど、肩に負担がかかりやすい動きが多く含まれています。
そのため、何気ない動作でも痛みが出やすくなります。

ここでは、特に痛みが出やすい代表的な動作について見ていきましょう。

上の服を着るとき(腕を通す・上げる)

Tシャツやシャツを着る際、腕を上げて袖を通す動きで痛みが出やすくなります。
特に、いきなり腕を上げる動作は肩関節への負担が大きく、痛みを引き起こしやすくなります。

この動きでは、腕を前や横から持ち上げる必要がありますが、五十肩ではこの可動域が制限されているため、途中で引っかかるような痛みを感じることがあります。

また、無理に袖を通そうとして腕をさらに高く上げたり、ねじる動きが加わることで、関節や周囲の組織に余計なストレスがかかりやすくなります。

下の服を履くとき(体をかがめる・引き上げる)

ズボンやパンツを履く際には、体を前に倒したり、衣類を引き上げたりする動きが必要です。
このとき、バランスを取ろうとして無意識に肩や腕に力が入り、痛みが出ることがあります。

特に、片足立ちの状態でズボンを履こうとすると、体を支えるために肩周りに余計な緊張が生じやすくなります。
また、ウエスト部分を引き上げる動作では、腕を前や横に引く力が加わるため、肩関節に負担がかかりやすくなります。

下着やインナーの着脱(後ろに手を回す)

ブラジャーやインナーの着脱は、最も負担がかかる動作の一つです。
腕を後ろに回す動きが必要なため、強い制限を感じやすい場面です。

この動きでは、肩を後ろに引きながら内側にねじる(内旋)必要がありますが、五十肩ではこの動きが特に制限されやすく、痛みも出やすいのが特徴です。

また、背中の後ろで細かい作業を行う際には、肩だけでなく肩甲骨の動きも必要になりますが、関節が硬くなっている状態ではスムーズに連動せず、無理な負担がかかりやすくなります。

五十肩でも楽に着替えるためのコツ

「少しでも楽に着替えられる方法はないの?」
そう感じている方も多いのではないでしょうか。

五十肩による痛みは、動かし方や順番を工夫するだけでも大きく軽減できます。
無理に我慢するのではなく、負担の少ない方法を知ることが大切です。

ここでは、日常ですぐに実践できる着替えのコツを4つ紹介します。

痛くない側の腕から先に通す

着替えの基本は、痛くない側から先に動かすことです。
これにより、痛い側への負担を最小限に抑えられます。

腕を無理に上げず、体を使って調整する

腕だけで動かそうとせず、体を傾けたり前かがみになることで、
無理なく袖を通すことができます。

おりひく

「腕を動かす」ではなく「体で補う」意識が重要

前開きの服を活用する

シャツやカーディガンなどの前開きの服は、腕を大きく上げる必要がありません。
痛みが強い時期は、衣類選びも重要な対策になります。

ゆったりした服・伸縮性のある素材を選ぶ

ピッタリした服は、動きの制限をさらに強めます。
ゆとりのある服やストレッチ素材を選ぶことで、着替えの負担が軽減されます。

やってはいけないNG動作

五十肩では、良かれと思って行っている動作が、実は痛みを悪化させていることもあります。
特に着替えの場面では、無意識のうちに負担の大きい動きをしてしまいがちです。

ここでは、回復を遅らせる可能性のあるNG動作について確認していきましょう。

痛みを我慢して無理に腕を上げる

痛みを我慢して無理に腕を上げると、炎症が悪化し、回復が遅れる原因になります。

五十肩では、関節やその周囲の組織に炎症が起きているため、強い痛みを伴う動きは体からの「これ以上無理をしないで」というサインです。
それを無視して動かし続けると、炎症が長引くだけでなく、痛みの範囲が広がることもあります。

また、痛みをかばうことで不自然な動きが癖になり、肩以外の部位(首や背中)にも負担がかかることがあります。

結果として、回復が遅れるだけでなく、日常生活の動作全体に影響が出る可能性もあるため注意が必要です。

勢いをつけて着替える

反動を使うと一時的に動かせても、関節に大きな負担がかかります。ゆっくりコントロールして動かすことが大切です。

勢いをつけて腕を上げると、筋肉のサポートが十分に働かないまま関節だけに強い力が加わるため、炎症を悪化させる原因になります。
また、可動域の限界を一気に超えてしまうことで、関節や周囲の組織を傷つけてしまうリスクもあります。

さらに、反動に頼った動きは正しい動作の感覚が身につきにくく、無意識のうちに負担の大きい動きが癖になることもあります。

そのため、痛みのない範囲でゆっくりとコントロールしながら動かすことが、回復を進めるうえで重要です。

左右差を無視して同じ動きをする

左右同じように動かそうとすると、痛い側に無理がかかります。状態に合わせて動きを変えることが必要です。

五十肩では、左右で可動域や痛みの程度が大きく異なることが多く、健康な側と同じように動かそうとすると、無理な範囲まで動かしてしまう原因になります。

その結果、関節や周囲の組織に余計な負担がかかり、痛みの悪化や炎症の長期化につながることがあります。

また、無理に左右をそろえようとすることで、動きがぎこちなくなり、肩以外の部位(首や背中)に負担が分散してしまうこともあります。

時期によって着替えの注意点は変わる

五十肩は、すべての時期で同じ対応をすればよいわけではありません。

炎症期・拘縮期・解凍期と段階的に変化していくため、
それぞれの時期に合わせた動かし方や注意点が重要になります。

着替えの負担を減らし、回復をスムーズに進めるためにも、
まずは時期ごとのポイントを確認していきましょう。

炎症期:痛みを最優先に回避

この時期は無理に動かさず、痛みを避けることが最優先です。詳細は別記事でも載せていますので、是非参照して頂ければと思います。
▶炎症期の詳しい対処はこちら:五十肩の炎症期に夜間痛が強い理由|いつまで続く?正しい対処法を解説

👉 夜間痛で眠れない方へ|肩の痛みを悪化させない枕おすすめランキングTOP5【理学療法士が解説】
👉 肩の夜間痛に悩む方へ|おすすめマットレス比較ランキングTOP5【理学療法士が選び方から解説】

拘縮期:無理のない範囲で動かす

拘縮期では少しずつ動かしながら、可動域を維持・改善していきます。詳細は別記事でも載せていますので、是非参照して頂ければと思います。
▶拘縮期のリハビリはこちら:五十肩はいつ拘縮期に入る?|炎症期からの移行サインと正しい対応

解凍期:徐々に可動域を広げる

動きが戻ってくる時期は、適切に動かすことで回復が進みます。
▶解凍期(回復期)の記事はこちら:五十肩の解凍期(回復期)の見極めと完治に向けたステップ

着替えがつらいときにおすすめの対処法

「どうしても着替えがつらい…」
そんなときは、無理に頑張るのではなく、負担を軽くする工夫を取り入れることが大切です。

ちょっとした対処を行うだけでも、痛みを和らげ、動かしやすくすることができます。
ここでは、着替えがつらいときにすぐ実践できる対処法を紹介します。

着替え前に軽く肩を動かす

軽いストレッチを行うことで、関節が動きやすくなります。

着替えの前に肩や腕をゆっくり動かしておくことで、筋肉や関節周囲の組織がほぐれ、可動域が広がりやすくなります。その結果、いきなり動かしたときに比べて痛みが出にくくなります。

特に、腕を前後に小さく振る、ゆっくり回すといった無理のない動きを数回行うだけでも効果があります。

ただし、強い痛みが出る動きは避け、「気持ちよく動かせる範囲」で行うことが大切です。

温めてから動かす

入浴後など体が温まった状態は、筋肉が柔らかくなり動かしやすくなります。

温めることで血流が良くなり、肩まわりの筋肉や関節のこわばりが和らぐため、動かしたときの痛みを軽減しやすくなります。その結果、着替えの動作もスムーズに行いやすくなります。

入浴後のほかにも、蒸しタオルや温熱シートなどで肩を軽く温めてから動かすのも効果的です。

ただし、炎症が強く熱っぽさやズキズキした痛みがある場合は、温めることで症状が悪化することもあるため注意が必要です。

無理な日は無理をしない

痛みが強い日は無理をせず、休むことも重要です。無理の積み重ねが悪化につながります。

五十肩では、その日の体調や炎症の状態によって痛みの強さが変わることがあります。
痛みが強いときに無理に動かし続けると、炎症が長引き、回復を遅らせてしまう原因になります。

また、「少しくらいなら大丈夫」と無理を重ねることで、知らないうちに関節や周囲の組織に負担が蓄積してしまうこともあります。

まとめ|着替えの工夫で痛みは軽減できる

五十肩で服が着られないのは、
関節の炎症と動きの制限が原因です。

しかし、

  • 動かし方を工夫する
  • 服の選び方を変える
  • 無理をしない

といったポイントを意識することで、負担は大きく軽減できます。

👉 夜間痛で眠れない方へ|肩の痛みを悪化させない枕おすすめランキングTOP5【理学療法士が解説】
👉 肩の夜間痛に悩む方へ|おすすめマットレス比較ランキングTOP5【理学療法士が選び方から解説】

そして重要なのは、時期に応じた対応をすることです。

▶痛みが落ち着いてきた方は、こちらも参考にしてください
解凍期(回復期)の見極めと完治に向けたステップ

最後に

着替えは毎日の動作だからこそ、無理を続けると大きなストレスになります。

「できる範囲で、楽に動く」

この意識を大切にしながら、少しずつ回復を目指していきましょう。

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この記事を書いた人

数あるブログの中からkaradaビーズにお越し頂きましてありがとうございます。このブログでは15年間リハビリテーション医療に関わることで気付くことができた経験を共有して、大切な時間を割いてサイトに訪れて頂いた方々のお悩みが少しでも解消できればと思っています。

【経歴】
都内の大学病院で理学療法士として勤務。
整形外科疾患、生活習慣病に対するリハビリテーションに従事し、2020年東京オリンピック・パラリンピックでは医療スタッフとして活動しました。
【資格】
理学療法士(修士課程修了)
認定理学療法士(スポーツ)
心臓リハビリテーション指導士
3学会合同呼吸認定療法士
糖尿病療養指導士

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