理学療法士監修|読了目安:6分
「エプロンの紐が結べない」「ズボンの後ろポケットに手が届かない」
五十肩(四十肩)の拘縮期では、 内旋(結帯動作)が最後まで改善しにくい動きとして残りやすく、 日常生活で強い不便さを感じる方が多くいます。
内旋制限は、単に筋肉が硬いだけでなく、 肩関節包の後方・下方の硬さが深く関係しています。
本記事では、結帯動作に特化して 安全に行えるストレッチ方法と 改善を早める考え方を、理学療法士の視点で解説します。
なぜ結帯(内旋)が制限されるのか
五十肩の拘縮期では、 肩関節包の後方・下方が特に硬くなります。 この部分は、腕を背中に回す内旋動作に強く関与します。
その結果、 肘が後ろに引けない、 肩が詰まる感じがするといった症状が出ます。


肩の内旋動作が硬いと何に影響する?
日常生活でしにくくなる動作
- 背中に手を回す動き :エプロンの紐を結ぶ、下着のホックを留める、背中をかく
- 腰やお尻に手を回す動き :ズボンの後ろポケットに手を入れる
- 服を脱ぐ・着る動作 : 特に上着を脱ぐときに肩が詰まる感覚が出やすい
- 髪を結ぶ・後頭部に手を回す動き : 肩が前に引っ張られて腕が上がりにくくなる
姿勢にも影響することがある
- 肩が前に巻きやすくなる(巻き肩)
- 胸が張りにくくなる
- 首や肩のコリが増えやすい
スポーツでしにくくなる動作
- 投球動作(ボールを投げる) : コッキング期で肩が後ろに引けず、球速やフォームに影響
- ラケットスポーツのスイング :テニス・バドミントンなどで肩の可動域が不足し、無理なフォームになりやすい
- 水泳のクロール・背泳ぎ :肩がスムーズに回らず、腕が大きく回せない
- 筋トレのベンチプレス・腕立て伏せ :肩が前に出やすく、胸が張れずにフォームが崩れる
おりひく内旋の硬さは「肩の後方組織の硬さ」や「肩甲骨の動きの悪さ」と関係していることが多いので、改善すると動きがかなり楽になります。
内旋(結帯)ストレッチの考え方
結帯動作の改善には、 無理に背中へ引っ張るのではなく、 段階的に肩関節を内旋方向へ誘導することが重要です。
- 痛みが出ない範囲で行う
- 反動を使わない
- 他の動き(外旋・挙上)と併用する
内旋(結帯)特化ストレッチ
① タオルを使った結帯ストレッチ
タオルを背中で縦に持ち、 健側の手で上からやさしく引き上げます。
やり方
- タオルの両端を持ち、背中側で両手を上下に配置
- 上の手は後頭部~肩甲骨の内側あたり、下の手(硬い肩)は腰の後ろに回す
- タオルを軽く引っ張りながら、下の手を上へ誘導する
- 肩が前方に引かれすぎないように、胸を開いて姿勢を保つ
- 20〜30秒キープ、左右交互に行う
効果
- 肩関節の伸展+外旋方向への誘導で、前方〜下方関節包が伸張
ポイント:肩や肘の痛みが出る直前で止める


② ベルトラインタッチ練習
まずはズボンのベルトラインを目標にし、 少しずつ高い位置へ移行します。


③ 壁サポート内旋
壁に体を近づけた状態で、 肘を後方へ引く練習を行います。内旋が痛い人は、腕ではなく“肘の位置”が原因で動きにくくなっていることが多いため、壁を使って姿勢を安定させながら練習します。
基本姿勢
- 壁に体側(肩〜体幹)を近づけて立つ
- 痛みのある側の肩が壁側
- 肘は軽く曲げ、上腕は体側に近づけた位置
- 前腕や手は自然に体の前〜横(※無理に内旋しない)
- 肩がすくまない、胸を張りすぎない、腰を反らさないことがポイントになります。





肩を内側にひねる練習ではなく、
「肘を後ろに引いたときに肩が前に出ない状態」を作る運動です。
効果を高めるポイント
- ストレッチ前に温める
- 呼吸を止めない
- 毎回同じ位置から始める
よくあるNG例
- 痛みを我慢して一気に引く
- 肘を無理に後ろへ引きすぎる
- 炎症期なのに行ってしまう
頻度・回数の目安
- 1日2〜3回
- 10〜20秒保持 × 3回
- 翌日に痛みを残さない範囲
おすすめな人・注意が必要な人
おすすめ
- 五十肩の拘縮期
- 結帯動作で困っている方
注意が必要
- 炎症期で安静時痛が強い場合
- 鋭い痛み・しびれが出る場合
拘縮期リハビリを体系的に学ぶ
▶ 拘縮期の正しいリハビリ・ストレッチ完全ガイド|五十肩の可動域を安全に取り戻す方法
▶ タオルを使った外旋ストレッチ完全ガイド|五十肩・拘縮期に安全に可動域を広げる
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。症状が強い場合は医療機関へご相談ください。



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