肩の前側がズキッと痛む、腕を上げると引っかかるような違和感がある――
それは上腕二頭筋長頭腱炎が原因かもしれません。
このページでは、理学療法士の視点から 病態の仕組み・起こりやすい人・セルフチェック・正しいセルフケア・受診の目安まで、 初めての方にもわかりやすく解説します。
上腕二頭筋長頭腱炎とは?(病態の仕組み)
上腕二頭筋は、肘を曲げたり手のひらを返したりする筋肉ですが、 そのうち「長頭腱」は肩関節の奥から始まり、結節間溝という溝を通って走行しています。
この長頭腱は、肩を上げる・回す動作のたびに摩擦やストレスを受けやすく、 炎症・微小損傷が起こると「上腕二頭筋長頭腱炎」となります。
▶ 図解:上腕二頭筋長頭腱の位置と炎症部位

おりひく上腕二頭筋長頭腱炎は腱板損傷やインピンジメント症候群と併発することも多いのが特徴です。


起こりやすい人・動作
- デスクワークで巻き肩・猫背が強い
- 腕をよく使う仕事・家事・育児
- 野球・テニス・水泳などの反復動作
- 四十肩・五十肩の初期段階
特に肩が前に出た巻き肩の姿勢では、長頭腱が圧迫されやすくなります。
症状の特徴(他の肩疾患との違い)
上腕二頭筋長頭腱炎は、肩の前面にある筋肉の腱が炎症を起こす状態で、特に「肩を動かした時の痛み」が特徴的です。主な症状を整理しました。
1. 特徴的な痛み
- 肩の前面の痛み: 肩の付け根の前側(結節間溝と呼ばれる部分)に鋭い痛みや重だるい痛みを感じます。
- 動作時の痛み: 特に以下の動作で痛みが強まります。
・腕を高く上げる、または後ろに回す。
・重いものを持ち上げる。
・肘を曲げた状態で、手のひらを上に向ける動作(ドアノブを回す、ネジを締めるなど)。 - 夜間痛: 寝返りを打った際や、痛む方を下にして寝た時に痛みで目が覚めることがあります。
外転痛(ペインフルアーク)や夜間痛がある場合は、 以下の記事も参考になります。


▶関連記事:五十肩の炎症期に夜間痛が強い理由|いつまで続く?正しい対処法を解説
▶関連記事:外転痛(ペインフルアーク)とは?|肩を横に上げると痛い原因と対処法を理学療法士が解説②
2. その他の違和感
- 圧痛: 肩の前面にある腱の部分を指で押すと、はっきりとした痛みを感じます。
- クリック感: 腕を動かした時に、肩の中で「ポキッ」「コリッ」という何かが引っかかるような感覚や音がすることがあります。
- 脱力感: 痛みによって腕に力が入りにくくなることがあります。
セルフチェック|上腕二頭筋長頭腱炎かも?
肩が痛くて上腕二頭筋長頭腱炎かもと感じたら、次の動作を試してください。
- 肘を伸ばし、手のひらを上に向ける
- そのまま腕を前にゆっくり持ち上げる
肩の前側に痛みが出る/引っかかる場合、長頭腱への負担が疑われます。





腕を挙げた状態をキープします。誰かに手首を下に押すようにしてもらい、それに抵抗して腕の位置を保とうとすると、よりハッキリと痛みの有無を鑑別することができます。
セルフケアの考え方(急性期〜軽症)
① 無理に動かさない
痛みが強い時期は、無理な挙上や重い物を避けましょう。
② 冷却(炎症が強い場合)
運動後やズキズキする場合は、10〜15分のアイシングが有効です。
③ 肩甲骨の位置を整える
肩そのものよりも姿勢改善が重要です。
▶関連記事:上腕二頭筋長頭腱炎は姿勢が原因?巻き肩との関係と正しい治し方【理学療法士が解説】
やってはいけないNG行動
- 痛みを我慢して筋トレを続ける
- 反動をつけたストレッチ
- 急に強く揉む・押す
炎症期に無理をすると、慢性化・腱断裂リスクが高まります。
医療機関を受診すべき目安
- 安静にしても痛みが改善しない
- 夜間痛が強く眠れない
- 力が入りにくくなってきた



整形外科やリハビリ専門職に相談することで、 腱板損傷などの合併も確認できます。
関連記事|肩の痛みを正しく理解する
- 【医療監修レベル】肩の痛みの原因まとめ|自分で見分けるチェックつき
- 肩が上がらないときのチェックリスト|原因の見分け方と対処法
- 肩を上げたときに「ズキッと痛む」「途中で引っかかる感じがする」──そんな症状がある場合、インピンジメント症候群が関係している可能性があります。
「原因を知る → 正しく対処する」ことが、肩の痛み改善の近道です。


コメント