理学療法士監修|読了目安:8分
「夜、肩の激痛で目が覚める」「寝返りが打てないほど痛い」
五十肩(肩関節周囲炎)の炎症期では、 このような強い夜間痛が出ることが非常に多く、 「このまま治らないのでは?」と不安になる方も少なくありません。
しかし夜間痛は、炎症期の典型的な症状でもあります。 本記事では、なぜ五十肩の炎症期に夜間痛が強くなるのか、 どのくらい続くのか、そしてやってよいこと・避けるべきことを 医療職の視点でわかりやすく解説します。
五十肩の炎症期とは
五十肩は一般的に、 炎症期 → 拘縮期 → 回復期の3段階で経過します。
炎症期は発症初期にあたり、 肩関節周囲に強い炎症が起きている状態です。 この時期の最大の特徴が安静時痛・夜間痛です。
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夜間痛はつらい症状ですが、炎症期を過ぎると徐々に落ち着いていきます。
そしてその後の回復期(解凍期)の過ごし方によって、最終的な回復状態が大きく変わります。
痛みが落ち着いてきた後にやるべきことについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
👉 五十肩はいつ拘縮期に入る?|炎症期からの移行サインと正しい対応
👉 解凍期(回復期)の見極めと完治に向けたステップ
五十肩(肩関節周囲炎)炎症期に夜間痛が強くなる主な理由
関節包・滑液包の強い炎症
炎症期では、肩関節包や滑液包が腫れ、 ずかな刺激でも痛みが出やすくなっています。特に以下の4つの要因で痛みが強くなることが考えられます。
- 横になることで「関節内圧・周囲圧」が上がりやすい
- 炎症部位は「逃げ場が少ない」
- 就寝中は筋ポンプが働かず、うっ血しやすい
- 肩のポジションが崩れやすい(特に横向き)

おりひく「夜は“炎症が悪化する”というより、“炎症がある肩に不利な条件がそろう時間帯”」という表現が分かりやすいかもしれませんね。
① 横になることで「関節内圧・周囲圧」が上がりやすい
仰向け・横向きいずれでも
- 肩関節周囲(関節包・滑液包・腱板)が
- 自重や寝具によって持続的に圧迫されます
炎症期はもともと
- 滑膜の腫脹
- 滑液量の増加
- 関節包の浮腫
があるため、少しの圧迫でも内圧が上がりやすい状態です。
→ 痛覚受容器が刺激され、ズキズキした夜間痛につながります。
② 炎症部位は「逃げ場が少ない」
肩関節は
- 関節包に包まれた閉鎖空間に近い構造
- 特に肩峰下(腱板・滑液包)は骨と骨に挟まれやすい
横になることで
- 肩峰下スペースがさらに狭くなる
- 炎症組織が圧迫される
→ 炎症部位の内圧上昇+機械的刺激が起きやすくなります。
③ 就寝中は筋ポンプが働かず、うっ血しやすい
睡眠中は
- 三角筋・腱板筋の活動が低下
- 血液や炎症性滲出液の還流が悪くなる
その結果…
- 炎症部位のうっ血・腫れ感が増す
- 圧がさらに高まり痛みが増強
という悪循環になります。
④ 肩のポジションが崩れやすい(特に横向き)
就寝時は無意識のうちに
- 肩が前に落ちる
- 内旋・内巻き姿勢になる
これにより
- 腱板・関節包前方が引き伸ばされ
- 炎症部位にストレスが集中
→ 夜間痛が強く出やすくなります。
夜間痛はいつまで続く?
炎症期の夜間痛は、 数週間〜数か月続くことがあります。
痛みが徐々に落ち着き、 夜間痛が軽減してくると、 次の拘縮期へ移行していくサインと考えられます。
炎症期の正しい対処法
① 無理に動かさず安静を優先
「動かさないと固まるのでは」と不安になりますが、 炎症期に無理な運動は逆効果です。
② 就寝前の冷却
強いズキズキ感がある場合は、 就寝前に10〜15分の冷却が有効です。
③ 寝方の工夫
仰向けで腕の下にクッションを入れ、 肩が前に落ちないよう支えましょう。
実際の工夫ポイント
・仰向け
・肘が軽く曲がる位置
・前腕〜手首の下に細長いクッション or タオル
・肩がすくまない高さ(高すぎNG)
👉 ポイントは「肩ではなく、腕を支えている」こと
👉 夜間痛に悩む方へ|肩の痛みを悪化させない枕おすすめランキングTOP5【理学療法士が解説】





ここでいう
「肩が前に落ちる」=上腕骨頭と肩甲骨が前方・内旋方向に引き寄せられる状態を指します。腕の重さや肩甲骨の位置によって肩が前に落ちる(引かれる)ようになります。
やってはいけない行動
- 痛みを我慢してのストレッチ
- 勢いをつけて腕を上げる
- 自己判断での強いマッサージ
受診・治療の目安
- 夜間痛で眠れない日が続く
- 安静時でもズキズキ痛む
- 日常生活に大きな支障が出ている
まとめ
五十肩の炎症期に夜間痛が強くなるのは、夜になると炎症そのものが急に悪化するからではなく、炎症がある肩にとって不利な条件が重なりやすくなるためです。
- 機械的圧迫
- 関節内・周囲の圧上昇
- 血流・還流低下
- 不良な肩ポジション
これらの要因が重なり合うことで、五十肩の炎症期では夜間痛が強く出やすくなるのです。そのため、夜間痛対策では炎症を抑えることに加えて、寝方や枕・クッションの使い方を工夫し、肩にかかる負担を減らすことがとても重要になります。
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五十肩を段階別に理解したい方へ
▶ 五十肩はいつ拘縮期に入る?|炎症期からの移行サインと正しい対応
▶ 【医療監修レベル】肩の夜間痛の原因とは?寝ると痛い理由と正しい対処法
よくある質問
炎症期でも少しは動かした方がいいですか?
痛みが出ない範囲の日常動作は問題ありませんが、積極的な運動は控えましょう。
夜間痛があるうちは治らないのでしょうか?
夜間痛は炎症期の一症状で、多くの場合は経過とともに軽減します。
執筆:理学療法士|本記事は一般情報であり、診断・治療は医療機関で行ってください。



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