抱っこで悪化する肩痛の原因と対策|育児中のママに多い症状を理学療法士が解説

「抱っこをするたびに肩が痛い…」
「子どもを下ろしたあと、肩がズキッとする」
「最近、腕を上げにくくなってきた気がする」

育児中のママにとって“抱っこ”は避けられない動作ですが、実は肩の痛みを悪化させやすい要因がいくつも重なっています

この記事では、理学療法士の視点から

  • なぜ抱っこで肩が痛くなるのか
  • 悪化しやすい肩の症状
  • 今日からできる対策とセルフケア
  • 受診を考えるべきサイン

を難しい専門用語は避けてわかりやすく解説します。


目次

なぜ「抱っこ」で肩の痛みが悪化するのか

育児や介護、あるいはペットの「抱っこ」は、大切なふれあいの時間である一方で、体への負担も小さくありません。特に「最近、肩が上がらない」「鋭い痛みを感じる」といった不調に悩まされている方は多いのではないでしょうか。

抱っこによる肩の痛みは、単なる筋肉痛ではなく、日々の積み重ねによる「姿勢の崩れ」が大きな原因となっています。なぜ、抱っこを続けることで肩のコンディションが悪化してしまうのか。その背景には、知らず知らずのうちに体に染み付いてしまった3つの悪習慣が隠されています。

① 片側に体重がかかり続ける

多くのママは無意識に同じ腕・同じ肩で抱っこしています。

片側の肩に負担が集中する
僧帽筋と肩甲挙筋の緊張が肩の痛みになる

その結果、

  • 僧帽筋・肩甲挙筋が常に緊張
  • 肩甲骨が上に引き上げられたまま固定
  • 血流が悪くなり、痛み物質がたまりやすい

という状態が続き、肩こり〜痛みへと進行します。

② 肩がすくんだ姿勢がクセになる

赤ちゃんを落とさないようにすると、自然と肩をすくめた姿勢になります。

抱っこによって肩がすくんだ姿勢

この姿勢が続くと、

  • 首〜肩の筋肉が休まらない
  • 肩関節の動きが制限される
  • 腕を上げる動作で痛みが出やすくなる

といった悪循環に陥ります。

③ 前かがみ・巻き肩になりやすい

授乳・おむつ替え・抱っこを繰り返す生活では、肩や首の不良姿勢が長時間続いてしまいます。

おむつ替えの姿勢によって肩や背中に負担が集中してしまう
  • 背中が丸まる
  • 肩が前に出る(巻き肩)

このような姿勢が定着しやすくなります。

この姿勢では肩の通り道が狭くなり、腱や滑液包がこすれやすくなるため、痛みが出やすくなります。

抱っこで悪化しやすい肩の症状

抱っこは毎日の育児に欠かせない大切な時間ですが、実は肩にとっては負担の大きい動作の連続です。赤ちゃんの体重を片側で支え続けたり、落とさないように無意識に肩をすくめたりすることで、首~肩まわりの筋肉や関節にじわじわとストレスが蓄積していきます。

その結果として起こりやすいのが、筋肉の緊張からくる「肩こり由来の肩痛」。さらに、腕を上げたときにズキッと痛む「インピンジメント症候群(挙上時痛)」へと進行するケースもあります。また、違和感や軽い痛みを放置していると、四十肩・五十肩の初期症状へと発展することも少なくありません。

「ただの抱っこ疲れ」と思って見過ごしてしまいがちな肩の痛み。実はその背景には、こうした代表的な肩のトラブルが隠れていることがあるのです。

肩こり由来の肩痛

最も多いのが、筋肉の緊張による肩こりタイプです。

肩こりの原因になりやすい筋
  • 重だるい痛み
  • 首〜肩〜背中にかけて張る感じ
  • 温めると楽になる

という特徴があります。

インピンジメント症候群(挙上時痛)

抱っこの後に

  • 腕を横から上げると痛い
  • 一定の角度でズキッとする

このような場合は、肩の中で腱が挟まれている状態かもしれません。

インピンジメント症候群によって肩峰下滑液包や腱板が挟まれる

四十肩・五十肩の初期

育児中でも、年齢や負担の蓄積により四十肩・五十肩を発症することがあります

肩の動かし始めの痛み
夜間痛によって睡眠が妨げられる
  • 動かし始めが痛い
  • 夜間にズキズキする
  • 可動域が少しずつ狭くなる

といった症状があれば要注意です。

今日からできる抱っこ時の対策

抱っこによる肩の痛みは、「仕方ないもの」とあきらめなくても大丈夫です。実は、ちょっとした意識と工夫で、肩への負担は大きく変えられます。

今日からできる対策はシンプルです。抱っこする腕を意識的に変えること、肩をすくめないよう気づくこと、そして抱っこ紐を正しく使うこと。どれも特別な道具や時間は必要ありません。

毎日の抱っこを“負担の積み重ね”にしないために、まずはできることから始めていきましょう。

① 抱っこする腕を意識的に変える

左右交互に抱っこするだけでも、肩への負担は大きく減ります。

「利き腕じゃないと不安」という場合は、短時間でもOKです。

② 肩をすくめない意識を持つ

お子さんの抱っこをしている時に、

  • 肩が耳に近づいていないか
  • 首がすくんでいないか

をときどきチェックしましょう。

おりひく

抱っこの姿勢は悪い姿勢を避けるように「肩を下げて、首を長く」が合言葉です。

③ 抱っこ紐を正しく使う

抱っこ紐は「楽そうだから」と適当に使うと逆効果です。

  • 肩だけで支えていないか
  • 腰ベルトが緩んでいないか

を確認し、体全体で支える状態を作りましょう。

簡単にできるセルフケア

抱っこでつらくなった肩の痛みは、早めのセルフケアが大切です。まだ重だるさや違和感の段階でケアを始めることで、悪化を防ぎやすくなります。

特別な時間をとらなくても大丈夫。簡単にできる肩の運動や、温めて血流を促すケアだけでも、肩まわりはぐっと楽になります。
毎日の抱っこの合間に、無理なく続けられるケアから取り入れてみましょう。

肩・首をゆっくり動かす

痛みのない範囲で、

  • 肩をすくめてストンと落とす
  • 肩甲骨を内側に寄せる

など、緊張をリセットする動きがおすすめです。

肩をすくめてストンと落とす運動
背筋を伸ばして肩甲骨を内側に寄せる運動

温めて血流を改善する

入浴や蒸しタオルで首〜肩を温めると、筋肉が緩みやすくなります。とくに、じんわりと心地よい温かさを感じる程度に温めるのがポイントです。血流が良くなることで、こわばっていた筋肉がゆるみ、重だるさや痛みの軽減につながります。育児の合間にできる“ひと息ケア”として、無理のない範囲で取り入れてみましょう。

「冷やした方がいい?」と迷う方も多いですが、慢性的な肩こり系の痛みは温めが基本です。

首〜肩を温めると、筋肉が緩む
おりひく

がんばりすぎなくて大丈夫です。
「少しほぐしてあげる」その積み重ねが、明日の肩を守ってくれます。

受診を考えた方がいいサイン

  • 腕が明らかに上がらない
  • 夜間痛が強く、眠れない
  • 数週間たっても改善しない

これらがある場合は、整形外科などで一度相談することをおすすめします。


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おりひく

抱っこによる肩の痛みは、「仕方ないもの」ではありません。
原因を知り、少し工夫するだけで確実に楽になります

毎日がんばっているママの体を、少しずつ労わっていきましょう。

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この記事を書いた人

数あるブログの中からkaradaビーズにお越し頂きましてありがとうございます。このブログでは15年間リハビリテーション医療に関わることで気付くことができた経験を共有して、大切な時間を割いてサイトに訪れて頂いた方々のお悩みが少しでも解消できればと思っています。

【経歴】
都内の大学病院で理学療法士として勤務。
整形外科疾患、生活習慣病に対するリハビリテーションに従事し、2020年東京オリンピック・パラリンピックでは医療スタッフとして活動しました。
【資格】
理学療法士(修士課程修了)
認定理学療法士(スポーツ)
心臓リハビリテーション指導士
3学会合同呼吸認定療法士
糖尿病療養指導士

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