なぜ前鋸筋・僧帽筋下部で外転痛が軽減するのか(前提整理)
肩の外転痛が強い人では、
- 棘上筋が「上腕骨を引き上げる役」を代償
- 肩甲骨の上方回旋・後傾が不足
- 結果として肩峰下スペースが狭くなる
という状態になっています。
👉 前鋸筋+僧帽筋下部が働くと
- 肩甲骨がスムーズに上方回旋
- 上腕骨頭の上方偏位が減少
- 棘上筋の“引き上げ負担”が軽減
=外転時の痛みが減る、という流れです。
肩外転時の痛みに関連する記事
▶ 外転痛(ペインフルアーク)とは?|肩を横に上げると痛い原因と対処法を理学療法士が解説②
① 前鋸筋を使う運動(外転痛向け)
①-1 壁押しプラス(Wall Push-Up Plus)
目的
→ 前鋸筋を「肩をすくめず」に使えるようにする
方法
- 壁に両手を肩幅でつく
- 肘を軽く伸ばしたまま
- 肩甲骨を前に押し出すように壁を押す
- 肩がすくまない位置で3〜5秒キープ
回数
- 8〜10回 × 2セット
ポイント(記事向け)
- 「肩を上げずに、背中を丸めすぎない」
- 「肩甲骨が肋骨に張り付く感覚」
👉 外転痛が強い人は
腕を上げない状態で前鋸筋を再教育できるのが大きな利点

①-2 セラバンド・パンチ(仰向け)
目的
→ 肩関節に負担をかけず前鋸筋を働かせる
方法
- 仰向けで片手に軽いバンド or ダンベル
- 肘を伸ばしたまま天井へパンチ
- 最後に肩甲骨だけを前に出す
回数
- 10〜15回 × 2セット
ポイント
- 肩がすくむ=僧帽筋上部優位なのでNG
- 「肩甲骨が浮く感じ」が正解


② 僧帽筋下部を使う運動(外転痛向け)
②-1 うつ伏せYエクササイズ(低負荷)
目的
→ 肩甲骨を下制+上方回旋できるようにする
方法
- うつ伏せで腕をY字に挙げる
- 親指を上に向ける
- 肩をすくめずに腕を持ち上げる
回数
- 8〜12回 × 2セット
ポイント
- 挙上角度は痛みの出ない範囲でOK
- 「顔をあげすぎないようにする」ことが重要
👉 棘上筋に頼らず
👉 肩甲骨側から腕を支える感覚を作る

②-2 セラバンド・ロウ+下制意識
目的
→ 僧帽筋下部+前鋸筋の協調
方法
- ゴムのバンド(セラバンド)を胸の高さで柱やドアノブに固定
- バンドを胸の高さで引く
- 引いた後に肩甲骨を軽く下げる意識
- 肩をすくめない
回数
- 10回 × 2セット
ポイント
- 引くより「下げる」意識が主役
- 肘を引きすぎない

おりひくセラバンド・ロウに「肩甲骨を下げたまま引く」という意識を加えることで、僧帽筋下部と前鋸筋が働きやすくなり、外転時に起こりやすい肩のすくみやインピンジメントを防ぎやすくなります。
③ 外転痛改善につなげる「統合エクササイズ」
肩甲骨面挙上(Scaption)+軽負荷
目的
→ 実際の外転動作に前鋸筋・僧帽筋下部をつなげる
方法
- 親指を上にして30〜45°前方で挙上
- 腕をあげる高さは60°~90°程度までで止める
- 痛みゼロ〜軽度で実施
回数
- 8〜10回
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右腕のようにやや前方に挙げるようにする(左腕は真横なのでNG)



「腕を上げる前に肩甲骨が動く感覚を作ることで、棘上筋の負担が減り、外転時の痛みが軽減します。」
この記事では、セラバンド(弾性バンド)を使った「セラバンド・パンチ」「セラバンド・ロウ」などのエクササイズを紹介しています。自宅でリハビリを進めるにあたって、セラバンドはあると非常に便利です。楽天・Amazon・Yahoo!ショッピングでご購入いただけます。
まとめ
肩の外転時の痛みは、棘上筋そのものの問題というより、肩甲骨がうまく動かず棘上筋に負担が集中していることが原因で起こるケースが多くあります。
前鋸筋や僧帽筋下部を使えるようにすることで、肩甲骨の上方回旋が改善し、肩峰下スペースが確保されるため、外転痛の軽減につながります。



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