健康診断で「血圧が高い」と言われた方、「上が140」「下が90」という数値が気になっている方へ。高血圧は自覚症状がほとんどなく、放置すると脳卒中や心筋梗塞のリスクが高まる重大な生活習慣病です。
この記事では、高血圧の基準値・原因・放置リスク・生活習慣からの改善方法まで、理学療法士がわかりやすく解説します。
高血圧とは?わかりやすく解説
血圧とは、心臓が血液を全身に送り出すときに血管の壁にかかる圧力のことです。収縮期血圧(上の血圧)と拡張期血圧(下の血圧)の2つの数値で表されます。
高血圧とは、この血圧が慢性的に正常範囲を超えて高い状態を指します。日本高血圧学会(JSH2019)では、収縮期血圧140mmHg以上、または拡張期血圧90mmHg以上を高血圧と定義しています。
血圧の基準値一覧
以下の表は、成人の外来時血圧の分類です(日本高血圧学会 JSH2019 準拠)。
| 分類 | 収縮期血圧(上) | 拡張期血圧(下) | |
|---|---|---|---|
| 正常血圧 | < 120 | かつ | < 80 |
| 正常高値血圧 | 120〜129 | かつ | < 80 |
| 高値血圧 | 130〜139 | または | 80〜89 |
| Ⅰ度高血圧 | 140〜159 | または | 90〜99 |
| Ⅱ度高血圧 | 160〜179 | または | 100〜109 |
| Ⅲ度高血圧 | ≥ 180 | または | ≥ 110 |
出典:日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」(JSH2019)/単位はmmHg
収縮期血圧・拡張期血圧とは何か
収縮期血圧(上の血圧)とは、心臓が収縮して血液を送り出すときの血管にかかる最大の圧力です。一般に「上の血圧」と呼ばれます。
拡張期血圧(下の血圧)とは、心臓が拡張して血液を受け入れているときの血管にかかる最小の圧力です。「下の血圧」とも呼ばれます。高齢になるほど収縮期血圧が上がりやすく、拡張期血圧との差(脈圧)が広がる傾向があります。
高血圧の種類(本態性・二次性)
高血圧は大きく2種類に分けられます。
- 本態性高血圧(一次性高血圧):高血圧の約90%を占める。特定の原因疾患がなく、遺伝・食生活・運動不足・ストレスなどが複合的に関与する
- 二次性高血圧:慢性腎臓病・原発性アルドステロン症・睡眠時無呼吸症候群など、特定の疾患が原因で血圧が上昇する。原因疾患の治療で改善できる場合がある
若年での高血圧や、薬を複数使っても血圧が下がりにくい場合は二次性高血圧を疑い、専門的な検査が必要です。
あなたは大丈夫?高血圧セルフチェックリスト
以下の項目に当てはまるものを確認してください。当てはまる数が多いほど、高血圧または高血圧予備群のリスクが高まります。
チェックリスト:あなたの血圧リスクは?
0〜2個:現時点でのリスクは比較的低め。引き続き生活習慣の維持を
3〜5個:高血圧予備群の可能性あり。生活習慣の見直しを始めましょう
6個以上:高血圧リスクが高い。自宅での血圧測定と医療機関への相談を推奨します
おりひく血圧が少し高めと言われていても「まだ大丈夫」と思いがちです。でも血圧は毎日の習慣で確実に変わります。まず自宅で血圧を測ることから始めてみましょう!
高血圧を放置するとどうなる?
高血圧は自覚症状がほとんどないため、「別に何ともないから大丈夫」と放置してしまう方が多くいます。しかし、血圧が高い状態が続くと血管に慢性的なダメージが蓄積し、ある日突然、命に関わる疾患を引き起こすことがあります。
脳卒中・心筋梗塞との関係
高血圧が続くと動脈硬化(血管が硬く・もろくなる状態)が進行します。動脈硬化は全身の血管で起こり、特に以下のリスクを高めます。
- 脳卒中(脳梗塞・脳出血):高血圧は脳卒中の最大のリスク因子。収縮期血圧が10mmHg上がるごとに脳卒中リスクが約1.3倍高まるとされる
- 心筋梗塞・狭心症:冠動脈の動脈硬化が進むことで、心臓への血流が途絶え心筋が壊死する心筋梗塞が起こりやすくなる
- 大動脈瘤・大動脈解離:血管壁への持続的な高圧負荷が大動脈の拡張や解離を引き起こし、突然死の原因になることがある
腎臓・目への影響
高血圧は全身の臓器に影響します。
- 腎臓:高血圧性腎硬化症が進むと慢性腎臓病(CKD)につながり、最終的に透析が必要になる場合もある。なお、脂質異常症との合併は腎機能悪化をさらに加速させる
- 目(眼底):高血圧性網膜症を引き起こし、視力低下や最悪の場合は失明につながることもある
- 心臓:慢性的な高圧負荷により左心室が肥大し、心不全のリスクが高まる
「サイレントキラー」と呼ばれる理由
高血圧は「サイレントキラー(静かな殺し屋)」と呼ばれます。その理由は、血圧が高くても痛みや明確な症状がほとんどなく、気づかないうちに血管・臓器へのダメージが蓄積するからです。
日本における高血圧の患者数は約4,300万人と推計されており(厚生労働省)、そのうち適切な治療を受けているのは半数以下とも言われています。「たかが血圧」と思わず、早めのケアが大切です。



15年間リハビリ現場にいて、「あのとき早めに対策しておけばよかった」という言葉を何度も聞いてきました。症状がない今こそ、動き始めるベストタイミングです。
高血圧の原因
食事(塩分・アルコール・肥満)
食事は高血圧に最も影響する生活習慣です。
- 過剰な塩分摂取:日本人の食塩摂取量の平均は1日約10gで、推奨値(男性7.5g未満・女性6.5g未満)を大きく上回っている。塩分過多はナトリウムの蓄積により血液量が増加し、血圧を上昇させる
- 過剰なアルコール摂取:大量飲酒は血圧を上昇させる。適量(純アルコールで1日20g程度)を超えた飲酒は高血圧リスクを高める
- 肥満:体重増加に伴い心拍出量が増加し血圧が上昇する。体重を1kg減らすと収縮期血圧が約1mmHg低下するとされる
- 野菜・カリウム不足:カリウムはナトリウムの排泄を促進し血圧を下げる作用がある。野菜・果物の摂取が少ないと高血圧リスクが高まる
運動不足
定期的な有酸素運動には収縮期血圧を4〜9mmHg程度下げる効果が報告されています。運動不足が続くと体重増加・血管機能の低下・自律神経の乱れを招き、血圧上昇につながります。
睡眠不足・ストレス
睡眠不足や慢性的なストレスは交感神経を過度に刺激し、血管を収縮させてアドレナリンの分泌を増加させます。その結果、心拍数・血圧が上昇します。睡眠時無呼吸症候群(SAS)は特に二次性高血圧の原因として重要で、治療により血圧が改善する場合があります。
遺伝・加齢・体質
高血圧には遺伝的素因があり、両親が高血圧の場合は子供の発症リスクが高まります。また、加齢とともに血管の弾力性が低下して収縮期血圧が上昇しやすくなります。日本人は欧米人と比較して食塩感受性が高い人が多く、塩分の影響を受けやすい体質であることも指摘されています。
高血圧の改善方法|生活習慣から整える4つのアプローチ
薬を飲まずに生活習慣から改善したいと考えている方も多いと思います。Ⅰ度高血圧(140〜159/90〜99mmHg)程度であれば、まず生活習慣の改善から始めることが推奨されています(ただし心血管リスクが高い場合は医師の判断に従ってください)。
① 減塩・食事改善
最も効果が大きい介入の一つが減塩です。食塩摂取量を1日6g未満にすることで、収縮期血圧が5〜10mmHg程度低下するとされています。
- 汁物は1日1杯まで・薄味を心がける
- 加工食品・外食の頻度を減らす(特にラーメン・丼・漬物)
- カリウムを多く含む野菜・果物・芋類を積極的に摂る(ほうれん草・バナナ・アボカドなど)
- アルコールを控える(純アルコール換算で1日20g以下が目安)
- 飽和脂肪酸を減らし、青魚(DHA・EPA)や大豆製品を増やす
コレステロールや中性脂肪の管理も血圧コントロールと密接に関係しています。詳しくはLDLコレステロールを下げる完全ガイド・中性脂肪を下げる完全ガイドもご参照ください。
② 運動習慣(有酸素運動・理学療法士おすすめ)
理学療法士として最もおすすめするのが有酸素運動の習慣化です。ウォーキング・軽いジョギング・水泳・サイクリングなどを週3〜5回、1回30分程度行うことで降圧効果が期待できます。
- ウォーキング:最も取り組みやすい。速歩(やや息がはずむ程度)を1日30分が目標
- スクワット・筋力トレーニング:軽〜中程度の筋トレは血圧を安定させる効果がある。ただし息をこらえる動作(バルサルバ動作)は一時的に血圧を急上昇させるので避ける
- 入浴後のストレッチ:血管を広げ、副交感神経を活性化して就寝前の血圧を下げる効果が期待できる
運動前後の血圧チェックを習慣にし、収縮期血圧が180mmHg以上の場合は激しい運動を控えましょう。



理学療法士として断言できるのは、適切な有酸素運動は降圧薬に匹敵する効果があるということです。週3回のウォーキングを3ヶ月続けた方が収縮期血圧を10mmHg以上下げた例を何度も見てきました。まず30分の散歩から始めてみてください!
③ 睡眠・ストレスケア
- 睡眠時間の確保:7〜8時間の睡眠を目標に。就寝1時間前のスマートフォン使用を控え、室温・照明を整える
- 入浴:40℃程度のぬるめのお湯に10〜15分浸かることで副交感神経が優位になり血圧が低下する
- 深呼吸・瞑想:1日5〜10分の腹式呼吸は交感神経の過緊張を緩和し血圧低下につながる
- 禁煙:喫煙は血管を収縮させ血圧を急上昇させる。長期的な動脈硬化促進効果もある
④ サプリメントの活用(GABA・カリウム・コエンザイムQ10など)
食事・運動の改善と並行してサプリメントを活用することで、より効率的な血圧管理が期待できます。
- GABA(γ-アミノ酪酸):機能性表示食品として血圧を下げる効果が認められているものがある。交感神経の興奮を抑制し降圧作用をもたらす
- カリウム:ナトリウムの排泄を促進し血圧を下げる。野菜・果物からの摂取が基本だが不足する場合はサプリで補う方法もある
- コエンザイムQ10:心臓のエネルギー産生を助ける抗酸化物質。血圧降下作用を示すエビデンスがある
- EPA・DHA(魚油):中性脂肪を低下させ血管の柔軟性を高める効果がある。LDL・中性脂肪サプリランキングでも詳しく紹介しています
ただし、サプリメントはあくまで食事・運動の補助です。医薬品との相互作用がある場合もあるため、服薬中の方は必ず医師・薬剤師に相談してください。
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病院に行くべきタイミング・何科を受診するか
以下のいずれかに当てはまる場合は、速やかに医療機関を受診してください。
- 収縮期血圧が160mmHg以上、または拡張期血圧が100mmHg以上が続いている
- 突然の激しい頭痛・嘔吐・意識障害・半身麻痺・言語障害(脳卒中の可能性→救急)
- 胸痛・息切れ・動悸が強い(心疾患の可能性→救急または循環器内科)
- 生活習慣を改善しても血圧が3〜6か月以上改善しない
何科を受診するか?
まずは内科・循環器内科を受診するのが一般的です。かかりつけ医がいれば、まずそちらに相談しましょう。若年での高血圧や治療抵抗性の高血圧は、二次性高血圧の検査のため専門医(腎臓内科・内分泌内科)への紹介になることもあります。
よくある質問(FAQ)
Q. 血圧140は危険ですか?
収縮期血圧140mmHgはⅠ度高血圧に分類されます。すぐに命に関わる数値ではありませんが、このレベルが継続すると動脈硬化・脳卒中・心疾患のリスクが高まります。まずは生活習慣の改善を始め、3〜6か月後に医師に相談することをお勧めします。
Q. 上だけ高い・下だけ高いのはなぜですか?
収縮期血圧(上)だけが高い状態を孤立性収縮期高血圧といい、加齢による動脈硬化が主な原因です。高齢者に多く見られます。一方、拡張期血圧(下)だけが高い場合は比較的若年者に多く、末梢血管抵抗の増大が原因のことがあります。どちらの場合も心血管リスクの上昇につながるため、医療機関での評価が必要です。
Q. 降圧薬を飲み始めたら一生やめられませんか?
「一生やめられない」というのは必ずしも正確ではありません。生活習慣の改善で体重減少・減塩・運動継続などが達成できれば、医師の判断のもとで降圧薬を減量・中止できるケースもあります。ただし自己判断での中断は血圧の急上昇を招く危険があるため、必ず医師に相談してください。
Q. 白衣高血圧とは何ですか?
病院や診察室で血圧を測ると緊張から高く出るが、自宅ではほぼ正常範囲になる状態を白衣高血圧といいます。白衣高血圧の方は治療の必要がない場合もありますが、将来的に持続性高血圧に移行するリスクがあるため、家庭血圧の定期的な測定と経過観察が重要です。
Q. 家庭血圧と病院血圧、どちらが正確ですか?
診断や治療方針の決定には家庭血圧が優先されます(日本高血圧学会ガイドライン)。家庭血圧は起床後1時間以内(排尿後・朝食前・服薬前)と就寝前に測定するのが推奨されています。朝の家庭血圧が135/85mmHg以上で高血圧と診断されます。測定は同じ条件・同じ姿勢で毎日記録しておくと医師との相談に役立ちます。
まとめ
この記事のポイントをまとめます。
- 高血圧は収縮期血圧140mmHg以上または拡張期血圧90mmHg以上の状態で、自覚症状がほとんどない
- 放置すると脳卒中・心筋梗塞・腎機能障害などの重大疾患のリスクが高まる「サイレントキラー」
- 主な原因は塩分過多・運動不足・肥満・睡眠不足・ストレス・遺伝
- 減塩・有酸素運動・睡眠改善・ストレスケアが生活習慣改善の4本柱
- Ⅰ度高血圧は生活習慣の改善から開始できるが、重症・症状あり・改善なしの場合は内科・循環器内科へ
- 血圧サプリランキング|理学療法士が選ぶおすすめ5選【機能性表示食品】
血圧は毎日の積み重ねで変わります。まずは自宅での血圧測定・減塩・毎日のウォーキングの3つから始めてみましょう。生活習慣病の管理では高血圧だけでなく、コレステロール・中性脂肪の管理も重要です。脂質異常症とは?の記事もあわせてご覧ください。







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