「血圧を下げる食事って具体的に何を食べればいいの?」——高血圧と診断されると、真っ先にそんな疑問が浮かびますよね。塩分を減らすのは知っているけれど、実際に何をどう変えれば効果が出るのか、わからないまま過ごしている方が非常に多いです。心臓リハビリテーション指導士の理学療法士として、高血圧患者さんへの食事指導を長年行ってきた経験をもとに、今日から実践できる食事改善の方法を徹底解説します。
食事で血圧はどのくらい下がる?

減塩の降圧効果(エビデンスを示す)
食事改善の中でも最も降圧効果が高いのが減塩です。研究によると、1日の食塩摂取量を6g未満に抑えることで、収縮期血圧(上の血圧)が平均5〜6mmHg低下するとされています。もともと塩分摂取量が多い方ほど効果が顕著で、10mmHg以上の低下が得られるケースもあります。
日本人の平均食塩摂取量は1日約10g(男性10.9g・女性9.3g:厚生労働省「国民健康・栄養調査」)で、高血圧の食事療法目標の6g未満を大きく上回っています。日常の食事を少し見直すだけで、降圧薬1種類分に相当する効果が期待できます。
DASH食とは何か・降圧効果
DASH食(Dietary Approaches to Stop Hypertension)とは、米国国立衛生研究所(NIH)が開発した高血圧を改善するための食事法です。特定の食品を「食べない」のではなく、野菜・果物・低脂肪乳製品・全粒穀物・ナッツ・豆類を積極的に増やし、赤身肉・砂糖・飽和脂肪を控えることを基本とします。
DASH食の降圧効果
| 食事法 | 収縮期血圧の低下 |
|---|---|
| DASH食のみ | 約11mmHg低下 |
| DASH食+減塩 | 約16mmHg低下(降圧薬2種類分相当) |
| 減塩のみ(6g未満) | 約5〜6mmHg低下 |
おりひく心臓リハビリの現場で食事指導をしていると、「何を食べたらいいかわからない」という方がとても多いです。難しく考えなくて大丈夫。まず「野菜を1品増やす」だけから始めてみましょう!
血圧を下げる食べ物・栄養素ベスト5
① カリウム(野菜・果物・芋類)
カリウムは、体内の余分なナトリウム(塩分)を尿として排出するはたらきがあります。塩分を減らすと同時にカリウムを増やすことで、降圧効果が相乗的に高まります。研究では、カリウム摂取量を増やすことで収縮期血圧が平均3〜5mmHg低下するとされています。
カリウムを多く含む食品と1日の目安
| 食品 | カリウム量の目安 | おすすめの食べ方 |
|---|---|---|
| ほうれん草(茹で100g) | 490mg | お浸し・みそ汁の具 |
| アボカド(1/2個) | 約485mg | サラダ・スムージー |
| バナナ(1本) | 約360mg | 朝食・間食に手軽 |
| 里芋(茹で100g) | 560mg | 煮物・みそ汁 |
| さつまいも(蒸し100g) | 540mg | おやつ・副菜 |
1日の目安摂取量:成人で3,500mg以上(高血圧の方はより多めが理想)
※腎臓病がある方はカリウム制限が必要な場合があります。医師に確認してください。
② マグネシウム(豆類・ナッツ・海藻)
マグネシウムは血管の筋肉を弛緩させ、血管を広げることで血圧を下げるはたらきがあります。また、カルシウムの血管へのはたらきを調節する「天然のカルシウム拮抗薬」ともいわれます。日本人はマグネシウムが慢性的に不足しがちです。
マグネシウムを多く含む食品:大豆・納豆・豆腐・アーモンド・ひじき・わかめ・玄米・ごま。1日の目安は成人男性で370mg、女性で290mg。アーモンド約30g(一握り)で80mg、納豆1パック(50g)で50mg程度摂取できます。
③ EPA・DHA(青魚)
サバ・イワシ・サンマ・アジなどの青魚に豊富なEPA(エイコサペンタエン酸)・DHA(ドコサヘキサエン酸)は、血管を柔軟に保ち動脈硬化を予防するオメガ3脂肪酸です。また中性脂肪を下げる効果があり、中性脂肪を下げる食事としても注目されています。週に2〜3回の青魚食を習慣にすることで、収縮期血圧が2〜3mmHg低下するとされています。
④ 食物繊維(野菜・きのこ・海藻)
食物繊維は腸内環境を整え、腸内細菌が短鎖脂肪酸を産生することで血圧を下げる効果があります。また、食後の血糖値上昇を緩やかにし、体重管理にも有効です。目標は1日25g以上(多くの方が12〜15gほどしか摂れていません)。キャベツ・ごぼう・しいたけ・こんにゃく・わかめをメインとする副菜を毎食プラスすることで達成しやすくなります。
⑤ 発酵食品・乳酸菌(納豆・ヨーグルト)
近年の研究で、乳酸菌・ビフィズス菌などの腸内細菌が血圧調整に関与していることがわかってきました。特に納豆はナットウキナーゼが血栓を溶かす効果のほか、マグネシウム・カリウム・食物繊維も豊富な”高血圧対策の優等生”です。無糖ヨーグルトも乳タンパク由来のペプチドが降圧に働きます。1日1パックの納豆と毎日のヨーグルト(100〜150g)を習慣にしましょう。
血圧を下げるおすすめ食事メニュー


朝食の例(和食・洋食パターン)
血圧対策朝食メニュー例
| パターン | メニュー | ポイント |
|---|---|---|
| 和食 | 玄米ご飯+納豆+ほうれん草のお浸し+わかめみそ汁(だし多め・減塩みそ) | 納豆とほうれん草でカリウム・マグネシウムをW摂取 |
| 洋食 | 全粒粉パン+無糖ヨーグルト(バナナトッピング)+温野菜サラダ(オリーブオイル・レモン) | バナナ+ヨーグルトでカリウム・乳酸菌を補給 |
みそ汁は「だし(昆布・かつお)をしっかりとる+減塩みそを使う」だけで塩分を1g前後カットできます。
昼食の例(外食時の選び方含む)
外食が多い方も工夫次第で減塩できます。以下のポイントを意識してください。
- 定食を選ぶ:丼・麺類より定食の方が野菜が摂れて塩分も調整しやすい。汁物は半分残す習慣を。
- ソース・ドレッシングは別添えにする:「ドレッシングを別皿に」と一言お願いするだけで塩分を1〜2gカットできます。
- コンビニなら:おにぎり1個+サラダ+豆腐・納豆など。塩分表示を見て合計3g以下を目標に。
- 麺類を食べるなら:スープは必ず半分以上残す。具材の多いものを選び野菜を増やす。
夕食の例
血圧対策夕食メニュー例
| 主菜 | 副菜 | 汁物 | ポイント |
|---|---|---|---|
| サバの塩焼き(またはさば味噌・薄め) | ひじきの煮物+蒸しブロッコリー | 豆腐とわかめのみそ汁(減塩) | EPA・DHAとカリウムを同時に摂取 |
| 豆腐ハンバーグ(大豆たんぱく) | きのこのソテー+里芋の煮物 | 野菜スープ(塩少量) | 大豆タンパク・マグネシウム・カリウムを補給 |



患者さんに食事記録をつけてもらうと、知らず知らずのうちに塩分を摂りすぎているケースがほとんどです。まず1週間だけ食事内容を記録してみると、改善点が見えてきますよ。
高血圧の方が控えるべき食品・食習慣
塩分の多い食品TOP10(表形式)
要注意!塩分の多い食品ランキング
| 食品(1食あたり) | 塩分量 | 減塩のコツ |
|---|---|---|
| ラーメン(1杯・スープ含む) | 約5〜7g | スープを半分残す |
| うどん・そば(つゆ含む) | 約4〜6g | つけ麺スタイルにする |
| 梅干し(1個) | 約2g | 減塩タイプに切り替え |
| 漬け物(たくあん3切れ) | 約1.5〜2g | 量を半分にするか浅漬けに |
| しょうゆ(大さじ1) | 約2.6g | 減塩しょうゆ+少量をかける |
| みそ汁(1杯) | 約1.5〜2g | だしを濃くとり、みそを減らす |
| インスタント麺(1袋) | 約5〜6g | スープの素を半量にする |
| 食パン(6枚切り2枚) | 約0.8g | 無塩バターを使い加工品は控える |
| ウインナー(2本) | 約0.8〜1g | 頻度を週2回以下に |
| 塩鮭(1切れ) | 約1.5〜2g | 生鮭を使い塩は振らない |
アルコールの影響と適量
アルコールの過剰摂取は血圧を上昇させます。1日の適量の目安はビール中瓶1本(500mL)・日本酒1合・ワイングラス2杯程度。週2日以上の休肝日を設けることも重要です。飲酒量を減らすだけで収縮期血圧が3〜4mmHg低下することも示されています。また、アルコールは利尿作用により体内のカリウム・マグネシウムを排出しやすくする点も注意が必要です。
加工食品・外食の落とし穴
塩分過多の主な原因は、意外にも「自覚のない塩分」です。冷凍食品・缶詰・レトルト食品・ファストフード・コンビニ弁当には、1品で2〜3gの塩分が含まれることが珍しくありません。食品表示の「食塩相当量」を確認する習慣をつけることが大切です。また脂質異常症を合併している場合は、加工食品の飽和脂肪酸にも注意が必要です。





外食でも工夫次第で減塩できます。ラーメンのスープは半分残す、定食は汁物を麦茶に変えるなど、小さな積み重ねが3ヶ月後の血圧に大きな差を生みます!
実践!減塩のコツ10選
- ①だしをしっかりとる:昆布・かつお・煮干しで旨みを引き出せば、みその量を減らしても満足感が得られます。市販の減塩だしパックも便利です。
- ②レモン・酢・香辛料を活用:塩の代わりにレモン汁・酢・こしょう・わさびで風味をつけると塩分を減らしても美味しく食べられます。
- ③しょうゆは「かける」より「つける」:刺身・冷ややっこなどはしょうゆをかけず、少量をつけて食べると使用量が約1/3に減ります。
- ④減塩調味料に切り替える:しょうゆ・みそ・ソースの減塩版を使うだけで、普段の料理の塩分を30〜40%カットできます。
- ⑤汁物は1日1杯に:みそ汁・スープを1食1杯に絞るだけで1日1〜2g減塩になります。
- ⑥食品表示を確認する:「食塩相当量」が記載されています。1食で2g以下を目安に選びましょう。
- ⑦ハーブ・香味野菜を使う:大葉・みょうが・しょうが・にんにくを使うことで塩分なしでも風味豊かな料理になります。
- ⑧麺類のスープは残す:ラーメン・うどんのスープには3〜6gの塩分が含まれています。必ず半分以上残す習慣をつけましょう。
- ⑨漬け物・佃煮の量を減らす:ご飯の「お供」になりがちな漬け物・佃煮は塩分が高め。量を半分にするか、浅漬け・酢の物に切り替えましょう。
- ⑩野菜を先に食べる:食物繊維を最初に摂ることで血糖値の上昇を抑え、食べすぎも防止。血圧管理にも間接的に有効です。


血圧を下げる飲み物・避けるべき飲み物
おすすめの飲み物
| 飲み物 | 降圧効果・特徴 | 目安量 |
|---|---|---|
| 麦茶 | カリウム含有・ノンカフェイン・水分補給に最適 | 1日1〜1.5L |
| 緑茶 | カテキンが血管の酸化を抑制・1日3〜4杯で降圧効果の報告あり | 1日3〜4杯(適量を守る) |
| ルイボスティー | 抗酸化成分(ポリフェノール)が豊富・ノンカフェイン | 1日2〜3杯 |
| トマトジュース(無塩) | リコピン・カリウムを含む。有塩タイプは逆効果なので注意 | 1日200mL程度 |
避けるべき飲み物
- アルコール飲料:過剰摂取は血圧を上昇させます。適量を守り休肝日を設けましょう。
- 清涼飲料水・スポーツドリンク:糖分が多く、肥満・血糖値上昇を介して血圧を悪化させます。スポーツドリンクはナトリウム(塩分)も含むため注意。
- エナジードリンク:カフェイン・糖分・ナトリウムを大量に含み、血圧を急上昇させるリスクがあります。
- コーヒー(多量):1日3〜4杯程度では血圧への影響は限定的とされますが、カフェインに敏感な方や5杯以上飲む方は要注意。血圧への影響は個人差が大きいです。
食事改善の効果が出るまでの期間
食事改善の効果は、運動療法と同様に継続が重要です。以下を目安にしてください。
食事改善による血圧変化の目安
| 期間 | 期待できる変化 |
|---|---|
| 2週間 | 体重・むくみの改善を実感する方も。血圧への変化はまだ小さい。 |
| 1ヶ月 | 減塩を徹底した場合、収縮期血圧が2〜5mmHg低下する方が多い。 |
| 3ヶ月 | DASH食+減塩の徹底で8〜16mmHgの低下が期待できる。体重・コレステロール値も改善するケースが多い。 |
食事改善・運動(ウォーキングなど)・睡眠改善を組み合わせると、降圧効果はさらに高まります。LDLを下げる食事との共通点も多く、一度に取り組むことで生活習慣全体を改善できます。
サプリメントの補助的活用
食事・運動の改善と合わせて、GABAやカリウムなどのサプリメントを補助的に活用するのも有効です。血圧管理に役立つサプリランキングは血圧サプリランキング|理学療法士が選ぶおすすめ5選【機能性表示食品】で詳しく解説しています。LDL・中性脂肪に効くサプリランキングも参考にどうぞ。
よくある質問(FAQ)
Q. 塩分を減らすと味気なくて続かない。どうすれば?
味覚は2〜4週間で慣れてきます。いきなり大幅に減らすのではなく、まず「今より1g減らす」ことを目標にしましょう。だし・酢・レモン・香辛料・ハーブを活用すると、塩を減らしても満足感のある食事になります。減塩しょうゆへの切り替えも無理なく始めやすい方法です。
Q. 外食が多いがどうすればいい?
外食でも「汁物のスープを残す」「ドレッシングは別添え」「定食を選んでご飯少なめ・野菜多め」を意識するだけで1食あたり1〜2gの減塩が可能です。毎日の外食が難しい場合は、夕食だけでも自炊することで全体の塩分量を大きく抑えられます。
Q. カリウムを多く摂ると血圧が下がるって本当?
本当です。カリウムはナトリウムの排出を促し、血管の緊張を和らげます。ただし、慢性腎臓病(CKD)がある方はカリウム摂取を制限する必要がある場合があります。腎臓の病気がある方は必ず医師に確認してから増やしてください。
Q. バナナは血圧に良いって本当?
バナナ1本にはカリウムが約360mg含まれており、手軽にカリウムを補給できる優れた食品です。ただし糖質も多いため、糖尿病がある方は1日1本程度に留めましょう。血圧を下げる目的でバナナを食べることは有効ですが、それだけに頼らず野菜・芋類など他の食品もバランスよく摂ることが大切です。
Q. コーヒーは血圧に影響しますか?
コーヒーに含まれるカフェインは一時的に血圧を上昇させますが、習慣的に飲んでいる方では耐性が生じるため影響は小さいとされています。1日3〜4杯程度なら問題ないという研究が多いですが、カフェインに敏感な方・就寝前・運動前後は避けるのが無難です。血圧が不安定な時期は一時的に控えてみることも一つの方法です。
まとめ
血圧を下げる食事のポイントをまとめます。
- まず減塩から:1日6g未満を目標に。みそ汁のだしを濃くし、しょうゆは「つける」習慣に切り替えるだけで効果あり
- カリウムを増やす:野菜・芋類・バナナ・納豆を毎日の食事に。塩分の排出を促す
- DASH食を意識する:野菜・青魚・豆類・ナッツ・乳製品を増やし赤身肉・加工食品を控える
- 加工食品・外食の塩分に注意:食品表示を見る習慣をつけ、スープは必ず残す
- 3ヶ月継続する:食事改善は続けることで効果が出る。まず「野菜を1品増やす」から始めよう
食事改善だけで劇的に血圧が下がるわけではありませんが、運動・睡眠・薬との組み合わせで相乗効果が期待できます。まず今日から一つだけ変えてみてください。それが3ヶ月後の血圧改善につながります。





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